由良町議会総務文教常任委員会(山名実委員長)の町有財産視察が28日に行われ、執行部から吹井地内に計画されている新たな防災拠点整備について現地で説明を受けた。それによると、町内初のヘリポート(場外離着陸場)を備えた高台の津波避難所で、7月中に発注して、12月末の完成を目指していくことが報告された。完成後はヘリを使っての訓練も考えている。
 町が防災拠点の整備を計画している現場は、町立由良斎場北200㍍の町道沿いで、民地や県有地などの山林合わせて面積約6000平方㍍。海抜約60㍍の高台に位置し、地震の津波の心配がないとされている。さらに、町道や県道の整備で地理的にも由良、白崎、衣奈地区へアクセスしやすい。用地のうち民地についてはすでに購入済みで、県有地は交渉中だが、スムーズにまとまる見通し。工事では造成を行い、ヘリポートや備蓄倉庫なども整備して防災機能を充実させる。完成後は、津波で住宅が被災した住民の仮設住宅を建てる場としての利用なども視野に入れている。用地購入費や造成費を合わせた事業費は約6000万円。
 町内では緊急時にヘリが離着陸できる場所として町民グラウンドや海上自衛隊由良基地分遣隊があるが、(飛行)場外離着陸場として国土交通省の認可を受けて登録されるヘリポートの整備は今回が初めて。認可には平坦な土地、近くに障害物がない、着陸帯が表示されているなど一定の基準を満たしている必要がある。認可を受けて登録しておけば、災害時のヘリでの物資輸送や負傷者、急病人のドクターヘリでの搬送が必要な場合、手続き的にスムーズに利用できるメリットがある。
 同委員会の視察には委員6人とオブザーバーの議員1人が参加。現地で執行部から計画を聞いた。山名委員長は「議会からの要請もありヘリポートが整備されることになった。住民の安心、安全へ早期に完成することを期待している」と話している。視察ではかんきつ加工で利用されている旧中央保育所、野球練習やいきいきサロンが行われている旧白崎中学校、介護支援事業の場となっている旧衣奈保育所などの施設も見て回り、今後の参考とした。