4月開始のドラマが相次いで最終回を迎えた。今期は原作漫画を愛読していることもあり、TBS系の「重版出来(じゅうはんしゅったい)」を見ていた
漫画雑誌編集部を舞台に、締め切りに追われる漫画家、才能の限界を感じ苦しむ漫画家志望者、「作家と一緒にいいものを創りたい」という意欲と「売れる雑誌を出さねば商売が成り立たない」という現実のジレンマに悩む編集者らの姿が生き生き描かれる。よく練られた脚本と丁寧なつくり、役者の熱演に好感の持てる佳作と思ったが、インターネットで評価を調べたところ視聴率は芳しくなく、全10話の平均は8・0%だった。見た人の感想では「感動した」とかなりの高評価だったが
古本を整理して、33年前のフジテレビ系ドラマ「早春スケッチブック」の原作本を見つけた。「ふぞろいの林檎たち」「岸辺のアルバム」等往年の名作で知られる山田太一脚本。両親と息子・娘の4人で平穏な生活を送る一家を、息子の実の父である男が脅かす。実は男は余命いくばくもなく、息子の心に何かを残したいと思うが...という物語。放映後数年経っても熱心な手紙など反響の大きい作品だった、と著者はあとがきで明かす。平成11年にはDVDも発売され、「山田太一の最高傑作」と讃える声も多い。しかし放映時の平均視聴率は7・9%だったという
「気晴らしに向かない作品としてはこれが限度」かと思ったと山田氏は述べる。裏を返せば、本当にいいものを求めてドラマを見る人が、30年の時を経てもそれだけの人数は存在するとも言える
数が少なくても、一人の心に残された感動はまた新たなものを生むエネルギーになる。ドラマに限らず、「本物をつくる」という意欲は決して無駄ではないと思いたい。  (里)