国内外の最も優れた高校生の作品が集まる展覧会の一つ、第17回高校生国際美術展で、紀央館2年の上田夕加さんの作品「春雷」が上位9番目となる名誉会長賞に選ばれた。第61回御坊市美術展で知事賞に選ばれた作品と同じく、タマネギを題材にした作品。22日から7月3日まで東京の国立新美術館で展示され、最終日は東京都港区のホテルザ・リッツ・カールトン東京で表彰式が行われる。同校からは奨励賞、佳作にも1人ずつ選ばれた。
全国の高校生を対象にした美術展で、NPO法人世界芸術文化振興協会が主催、文化庁、外務省などが後援。ことしは書の部に1万125点(地元受賞なし)、美術の部1731点の応募があり、美術の部では内閣総理大臣賞をはじめとする18の賞と優秀賞、奨励賞、佳作が選出された。
上田さんの「春雷」は吊るされているたくさんのタマネギをF50号(116×91㌢)のキャンバスに描いた作品。御坊市展の作品と同じタマネギで、別の視点から描いた。少しむけているタマネギの皮を細部まで描くことに重点を置き、前作以上にリアルな作品に仕上げた。タマネギの皮が光って雷のように見えることから背景を黒くし、「春雷」というタイトルにした。受賞に際し「自信のある作品でしたが、受賞できると思っていなかったので、驚いています」と話している。
同校では昨年も美術部の生徒が上位10番目の賞を受賞。上田さんの賞は9番目だが、1~8位の間には北海道知事賞など後援する都道府県の生徒が受賞する賞が含まれているため、それらを除けば上位5番目。上位受賞は美術科のある私立学校が多く、美術科がない公立校の受賞は快挙となっている。
同校の森彩乃さん(3年)は作品「Sunset boat」で奨励賞を受賞。漁船が並ぶ塩屋漁港に夕日が差し込む様子を描いた作品。堤防や船の影、水面のうねりや夕日の映り具合を丁寧に描いた。
岡田奈津実さん(3年)は、御坊市内の工場にある廃棄物入れを描いた「下町工場」で佳作を受賞。ネジやナット、バッテリーなどが無造作に廃棄されている様子を細部まで描き、背景は白黒で描くなどの工夫を取り入れた。昨年は奨励賞に選ばれており、2年連続の受賞となった。
上田さんの 「春雷」