日高町が開発を進めていた方杭の町営温泉館「海の里みちしおの湯」の成分と同じ「温泉の素」の試供品が、完成した。入浴した時の感触を試行錯誤しながら、みちしおの湯の特徴である「さっぱり感」を再現。まずは同館で絵を展示している園児の家庭や各種イベントでPR用に無料配布し、好評なら商品化も検討していく。
 温泉の素の開発については以前から話もあったが、専門業者に委託する場合、何千、何万単位の大量生産が条件となっていたため、予算面や商品がヒットするかどうかの不安もあり、足踏みしていた。ところが、現在シャンプーやリンスを仕入れている業者から少ない数でも試供品を開発できる業者の紹介があり、委託することにした。みちしおの湯は、ナトリウム、カルシウムを含んだ塩化物泉で神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、慢性消化器病、痔症、虚弱児童、慢性婦人病などに効能があるとされており、業者が同じ成分を配合して温泉の素の粉末を開発。職員らが実際に入浴して成分の配合に改良を加えながらみちしおの湯の特徴を出すことに成功した。担当職員は「成分はいろいろ調整できるが、みちしおの湯と同じような入浴感にするためには、予想以上に難しかった。温泉の素に色も付けようと思ったが、元のみちしおの湯が透明なので、そのまま透明にした」などと話している。
 1袋は25㌘入りで、パッケージは温泉館外観や浴槽の写真を入れてデザイン。200袋の試供品が完成しており、ことしから同館で展示をスタートさせた町内保育所園児の家庭にプレゼント。さらに400袋を追加発注して、各種イベントでのPR用に活用する。本格販売について担当課は、「業者からの仕入れ値を考えると価格設定が難しい。試供品を配って反響を見ながら検討したい」と話している。
 同館の入館者数は、平成26年度が過去最低の4万2123人まで落ち込んだが、27年度は7月に地元女性グループ「みちしお会」(白井和代代表)が運営する「みちしお亭」がオープンしたことの相乗効果で前年度比15%増の4万8443人に増加。この勢いに乗ってさらに入館者数アップを図ろうと、町は本年度からさまざまな取り組みを展開しており、温泉の素の開発もその一環。また、PR用のリーフレット2万部が全てなくなってしまったため、デザインを含めて刷新。A4サイズの3つ折りで、表紙は温泉館から望む美しい夕陽の写真を使って目立つように工夫。近く業者から2万部が納品される。