梅の産地みなべ町などで15日から小梅の出荷がスタート。JA紀州では18日から古城梅、25日からは主力品種の南高梅の受け付けを行い、いよいよ本格的な梅の収穫シーズンを迎える。梅農家にとっては1年で最も忙しい時期だ。
収穫時期には量や品質、梅の単価が気になるところだろうが、ことしは販売面で明るいアピール材料がある。1つは「申年の梅」に当たるということ。平安時代の申年に都で悪疫が流行り、村上天皇(926~967年)が梅干しと昆布茶で回復したといういわれがある。以来、「梅干しは健康にいい」「縁起がいい」とされ、申にかけて「病が去る」「難が去る」などと言われている。梅干しの効能は1000年以上も前から実感されていたことになり、江戸時代にコレラが流行した時も人々はこぞって梅干しを食べたという。もう1つは、昨年12月に「みなべ・田辺の梅システム」が世界農業遺産に認定された。他産地の梅との差別化につながることに期待したい。
とは言っても、近年の梅の価格は下降傾向。20年ほど前には10㌔入りの青梅がいまの倍以上の1万円以上で取り引きされ、「青いダイヤ」とも呼ばれた。一次加工の梅干しも現在の3倍程度の高値で売れたこともある。しかし、若者の梅干し離れや漬け物自体の衰退で、梅の産地では「経営が苦しい」などという声が聞かれている。耕作放棄地が増えているのも事実で、明るい話題が少なくなっている。
申年の梅を食べて消費者に一層元気になってもらいたいと思うと同時に、低迷する生産地の「難」を取り除き、かつてのような好景気を取り戻すきっかけになればと思う。(雄)

