未曾有の大災害といわれた東日本大震災から丸5年が経過した。死者と行方不明者を合わせると1万8000人を超え、そのうち9割に当たる1万4000人は津波による溺死だった。地震そのものよりも津波の怖さが際立った災害だったのではないだろうか。建物も同じで、津波で甚大な被害を被った▼各自治体ではこの災害を教訓にさまざまな対策を検討している。特に津波に対して重点を置き、いかに早く安全な高台に逃げるかということが大きな焦点だ。海岸地域で近くに避難できるような高台がない場合などは避難タワーの建設などが検討されているほか、避難路の整備も着々と進められている▼日本は地震大国。近年は東日本大震災ばかり取り上げられがちだが、平成7年には阪神大震災が発生し、死者6434人、行方不明者3人を出した。当地方でも近い将来に南海トラフの巨大地震などが予想されているのは周知の通り。過去の災害を教訓として現在に生かさなければならない。それは行政だけでなく、住民自身も同じこと。しかし、実際に非常食などの避難用具を用意している家庭はどれぐらいいるだろうか。データ的なことは分からないが、おそらく少ないのではないか。「大地震が発生するのは分かっている。しかし、きょう、明日はたぶん大丈夫」という油断の気持ちの表れかもしれない▼東日本大震災では大半が津波で亡くなった。地震発生直後は、犠牲者のほとんどが生きていたことになる。過去の災害の恐怖を真摯に受け止めていれば、多くの命は助かったのではないか。自分の命を守るには、危険に対する判断基準を高める必要がある。「いま何ができるか」と考えてみるべきだ。(雄)

