官民一体でつくる御坊商工会議所津波防災研究会(谷口邦弘会長)の講演会が9日に御坊商工会館で開かれ、会員や一般から約150人が来場。岩手県大槌町議会副議長の芳賀潤さんが「東日本大震災の体験とその後について」で実体験をもとに津波の恐ろしさや教訓を語り、「自分たちに何ができるか、皆で話し合いをすることが命を守る第一歩」などとアドバイスした。
同研究会が東日本大震災後に2度、東北地方を視察した際、芳賀さんから話を聞くなどして交流が続いている縁で講師に招いた。芳賀さんは保育園や老人福祉施設も経営しており、東日本大震災では高台にあった施設が住民の避難所、けが人の救護所に。電気や水道などライフラインがストップした状況の中で1~2カ月間、命をつないできたことをスライドを使って分かりやすく説明した。地震や津波に対しての意識が高く、避難マニュアルも出来ていた東北でこれだけの被害が出たことについて「まさかここまでこないだろうという思いもあったし、被害があまりに広範囲だった」とし、「自分自身も被災している中で何ができるか考えないといけない。地域の避難訓練を夜間にすればどれだけ逃げにくいか分かるし、ライフラインがストップした状況での避難所運営など現実的な訓練をしてみてはどうか」と教訓を生かして提案。災害への備えとは、「命を守る可能性を広げることだ」と強調し、「地域には子ども、高齢者、病人などいろんな人がいる。その中で自分に何ができるか、人にいわれてやるのではなく、自分で考えて行動することをイメージしておいてほしい」とアドバイス。来場者からの避難所でのトイレの問題やライフジャケットに関する質問等にも丁寧に答え、「これがあれば必ず命が助かるというものはない。逆に準備しておいて無駄になるものもない。皆さんのようにいろんなことに関心を持って、家族で、地域で防災について話し合うことが大切で、それが命やまちを守る一歩になる」と防災について意識を高める重要性を訴えた。最後に「この地域は近い将来南海地震等の発生がいわれている。きょうの講演が次の備えへのきっかけになり、東日本大震災の被災者が経験した辛さを10とするなら、皆さんはそれを2か3に減らせれば、犠牲者も報われると思う」と力を込めた。

