日高郡6町が昨秋から共同で推進している「創業支援事業計画」に基づく特定創業支援事業の認定を受け、美浜町内にデザイン事務所が開業した。代表は31歳の若手デザイナー。デザインを専門的に行う事業所は日高地方では珍しいといい、今後の活躍に注目が集まる。
 これまでデザイナーという職種の方に詳しく取材させてもらう機会はあまりなかったので、いろいろと話をうかがった。デザイナーといえば、「見た目」の部分を考案するだけの仕事と思っていたが、玩具メーカーで三輪車のデザインを担当してきた前出のデザイナーに聞くと、パッケージのデザイン、設計、製品の品質管理なども手がけるという。定められた基準に適合させ、安全性についても責任を持つ。想像以上に幅の広い職業のようだ。
 美浜町のデザイナー。Uターンを決めたとき、周囲の人から「田舎で需要があるの?」と心配もされたそうだが、「仕事がないなら自分でつくろう」と実家に帰っての独立、開業を決心した。会社勤務時代は玩具のデザインが主だったが、事務所では印刷物、家具、日用品、玩具、ロゴ、キャラクター、生地など、ありとあらゆるデザインを請け負うと意欲的。特に資格が要らない職業、「どんな仕事をしてきたか」の実績が重視される世界で、東京五輪のエンブレム公募にも挑戦し、「一つずつ仕事をこなし、実績を積み重ねていきたい」と目を輝かせていた。
 「これからは地域活性化にも貢献できれば」と話す。美浜町には松キュウリやトマト、シラスなどの特産物があり、一次産業振興への協力も誓う。町おこしには「若者」「よそ者」の力が必要といわれており、若手デザイナーの柔軟、斬新な発想に期待したい。(賀)