日高郡6町が昨年秋から共同で推進している「創業支援事業計画」に基づく特定創業支援事業の認定を受け、由良町神谷出身の井上慶祥さん(23)が、神谷地内に営業・企画・販売代行業「㈱ゆらちょう」を設立した。同様の事業を展開している御坊市も含めて、日高地方での認定は第1号。井上さんは「大阪を中心に由良の特産品の販路開拓、PRへ歩く広告塔になれれば」と意気込んでいる。
 井上さんは、神戸の大学を卒業後、愛知県で1年間、塾講師を務めていたが、一念発起して昨年7月から大阪のIT関連事業の委託を受けて事業を展開しており、並行する形で創業を決意。特定創業支援事業があることを知って申請し、認定された。会社は昨年12月25日付で設立。事務所は自身の母校でもある旧白崎中学校の一室を借りている。社員1人、資本金10万円でまだ手探りの状態だが、「由良の人口は減少傾向にあり、白崎中学校も廃校で寂しい思い。何か由良町のためにお役に立てれば」とし、「まずは町内のしょうゆ、みそ、ミカン、海産物などの特産品を自分の足を使って大阪などで売り込みたいと考えています。今後、30年先には世界の国の食料自給率が下がり、食料を作っているだけで商売になる見通しもあります。将来的には東京、さらに世界に発信していければ」と意欲。支援事業については「優遇措置はもちろん、創業に関する個別相談で大変勉強になりました」としている。
 同事業計画では、商工会の経営指導員から「経営、財務、人材育成、販路開拓」の知識が全て身につくよう4回の個別指導を受けた上で、自身が立ちあげる会社の事業計画が認められると、町から証明書が発行される仕組み。この証明書があれば、特定創業支援事業の中で▽登録免許税の減免=創業前の株式設立時の登録免許税が半額になる(登録免許税は資本金の0・7%となっているが、0・35%になる)▽創業関連保証枠の拡大=無担保、第三者保証なしの創業関連保証(金融機関からの借入額)の限度額が1000万円から1500万円に拡大▽創業関連保証特例の拡大=通常、創業2カ月前から対象となる創業関連保証の特例が、事業開始6カ月前から利用できる――の優遇措置が受けられる。さらに登録免許税については、法改正で「株式会社の設立だけでなく、合名、合資、合同会社の設立にも利用可」「創業前の個人だけでなく、創業後5年未満の個人も利用可」となり、29年度末まで対象が拡充されている。
 同事業計画の期間は本年度から31年度末までの5年間で、創業目標は6町で年間8件の計40件に設定しており、由良町産業建設課では「井上さんの第1号の認定が、他の創業へのいい刺激になれば」と期待している。