由良町で町花のスイセンの花に美容成分が含まれていることが、近畿大学薬学部の研究で明らかになったという話題は、社会面や小欄でも一度紹介した通り。今後、化粧品などの新しい特産品開発やスイセン栽培を通じた地元遊休農地の活用、化粧品製造工場建設に伴う雇用確保などにつながると期待されている。
 そんなスイセンについて先輩記者から面白い話を聞いた。そもそもスイセンの学名は「Narcissus(ナルシサス)」と言い、ギリシア神話に登場する美少年ナルキッソスに由来。そして花言葉は「うぬぼれ」で、水鏡に映った自分の姿に恋をしてスイセンになってしまった美少年ナルキッソスの伝説に由来している。
 何を言いたいのか、もう分かると思うが、スイセンを使った化粧品などが開発できれば、ナルキッソスや花言葉は、商品のイメージ戦略に使いやすい。例えば商品名はずばりスイセンの美容エキス入り「うぬぼれ」でもいい。「この化粧品を使えば自分自身にうぬぼれてしまうほど、美しくなる」といった宣伝文句にできるのではないだろうか。
 観光にしても、何か名物をPRするにしても、それに関連する物語やエピソードがある方が、面白味があり、発信もしやすいとは、よく言われること。由良町のスイセンにつついては、もともと町内に紀南最大の群生地があり、町花に指定され、観賞イベントも行われるなど、町にとってはゆかりの深い花であるため、それだけでもスイセンの活用には意義がある。その上で、もってこいの花言葉もあったので、今後、スイセンを活用した地域活性化の取り組みの参考になればと思う。     (吉)