御坊市の自宅で母親が刃物で刺されてけがをした事件で、御坊署は21日、殺人未遂の疑いで逮捕した高校2年の長男を和歌山地検に送致した。
 県警少年課などによると、男子生徒は20日午前3時20分ごろ、自宅で寝ていた46歳の母親を殺そうと、家にあった刃渡り約17㌢の包丁で腰を刺し、けがをさせた疑い。母親を刺す前、自宅トイレで82歳の祖母の胸も刺したとみられている。
 当初、母親の悲鳴で事件に気づいたとして110番通報していたが、その後の事情聴取で犯行を認めたため逮捕されていた。調べに対し、「しつけのことで2人に不満を持っていた」と殺意や容疑を認めているという。
 この事件を受け、男子生徒が通う学校は20日午後に記者会見を開き、校長が生徒について「何事にもまじめで問題がある生徒ではなかった」と述べた。
 校長らによると、生徒は昨年の入学から1度も欠席がなく、サッカー部に所属。意思が強い印象で、学校での目立ったトラブルはなく、将来や学業について保護者と意見が食い違うところはみられたが、どこの家庭でもあるような程度だったという。
 校長は「皆さんに不安、心配をおかけしました」と沈痛な表情。警察からの情報に「なぜ?」と驚きを隠せなかったとし、「それほど問題を抱えているという認識がない生徒。とても残念で複雑」と心境を語った。
 同校では全生徒に事実関係を伝え、動揺しないよう指導。今後は必要に応じカウンセリングを行っていくとし、「在校生の心のケアに教職員一丸となって取り組みたい」と語った。