県の指定無形文化財となっている、みなべ町晩稲、西山浄土宗光明寺(和田教完住職)の「六斎念仏」が14日から始まった。23日までの期間、計5日間にわたって保存会(嵜山瀁会長)のメンバーが本堂や地蔵堂、英霊堂などで経を唱える。嵜山会長(79)は「メンバーの高齢化が進んでいるが、今後も続けていきたい」と話している。
 言い伝えによると、400年から500年ほど前、晩稲地内の下の尾地区に旅の僧侶が長期にわたって滞在し、住民に経を伝えたのが六斎念仏の始まりとされる。経は「七つ子」「賽の川原」「六字訓」「四方拝(いざら)」「山ごもり」「身売り」の6曲で、1曲15~30分。戦前は光明寺の盆行事として有名だったが、戦時中に一時中断。戦後、寺や檀家信徒の努力で復活し、現在は檀家信徒で結成する六斎念仏保存会が続けている。昭和44年4月には、「紀南地方における浄土宗の教えの隆盛を物語る仏教芸能の一つで、文化遺産としての価値が高い」と県無形民俗文化財に指定された。
 本堂、地区内の薬師堂、大師堂など8カ所で読経することになっており、初日の14日には保存会のメンバー4人と和田住職が参加。光明寺の墓地の一角に建てられている英霊堂から始まり、「四方拝」を唱えた。本堂や地蔵堂でも「六字訓」、「七つ子」をそれぞれ唱えた。澄んだ鉦の音色と厳かな読経の声が周辺に響いた。16日には薬師堂、17日に常楽観音と庚申、20日に大師堂、23日に地蔵堂と本堂で行われる。