本紙でも取り入れている写真にスマホをかざすと動画が動き出すAR機能。コンサートの告知ポスターにかざすと歌手がうたい出したり、広告が立体的に浮き上がる、日高地方の自治体では近くの避難場所を案内する防災面でも活用するなど使い道はさまざまで、スマホの急速な普及でARの認知度も高まっている。日本語では拡張現実と呼ばれ、現実環境をコンピューターで拡張する技術と要約しても少し分かりにくいが、現実の世界にバーチャルな世界を組み合わせた、まさにコンピューター社会ならではの技術。観光でも一役買っていることに驚いた。
 先日、兵庫県の姫路城を初めて見学する機会があった。シラサギが羽を広げたような姿から「白鷺城」ともいわれ、ことし3月に改修が終わったばかりで、その真っ白い美しさは目を見張るものがあった。さすがは世界文化遺産だけあって、外国人観光客が多かったのも印象深い。この姫路城で取り入れられていたのがAR。所々にARポイントがあり、スマホをかざすと壁の穴からかぶと姿で鉄砲を撃つ場面の動画が流れたり、城内では5階まで貫く太い柱のバーチャル映像が見られたりと、非常に分かりやすく、ただ順路に沿って見学するだけでは分からない魅力を知ることができた。
 御坊市でも寺内町観光の推進に力を入れているが、ARを活用した取り組みは十分可能だろう。小竹八幡神社でスマホをかざすと御坊祭の動画が流れたり、日高別院ではシンボルの大イチョウが黄葉している姿、中川邸をはじめとする古い町並みは、着物姿の人々が大勢行き交うバーチャル映像など。語り部とARがコラボすれば観光客へのもてなしの一つになるだろう。(片)