今月2日、印南町の鉄工所で発生した火災に気づき、迅速的確な初期消火で延焼拡大を防いだとして、日高広域消防本部の山西良一消防長は11日、近くに住む島田の農業、庄門孝浩さん(37)に感謝状を贈った。庄門さんは勇気ある冷静な行動で素早く水道水での消火活動を実行。鉄工所内には可燃性ガスボンベがあり、民家も隣接していたことから、大規模な火災につながる可能性があったが、被害を最小限に食い止めた。
 庄門さんは2日午後2時30分ごろ、自宅近くに所有する農業用倉庫に行ったところ、「バチバチ」という音が聞こえ、道向かいにある鉄工所の方から何か焦げたような臭いがし、ガラス越しに中を見ると炎のようなものを発見。中に入って分電盤から出ている火を見つけ、119番通報するとともに、近くにいた家族にも火災を知らせた。自分は倉庫から水道ホースを延ばして消火。火は屋根に届くほど燃え上がっていたが、電気機器を焼いただけで、日高広域消防隊が到着した時には鎮火していた。
 日高広域消防本部での表彰式では山西消防長が感謝状を贈呈。「休日の、しかも無人の鉄工所内からの出火で、内部には可燃性物品が設置されており、また、民家も隣接していたことから大規模な火災になっていた可能性が十分に予想された。庄門さんの迅速な行為は消火活動の模範であり、その重要性を広く地域住民に知らせるものです」とたたえ、ねぎらった。
 火災当日、「稲むらの火」で知られる濱口梧陵の偉業について講演を聴いたあとだったという庄門さんは「防災について学んだばかりで、無我夢中ながらも落ち着いて行動できたと思います。消火活動は初めてでしたので消防隊の到着には正直ホッとしました。とにかく消さなアカンと自分にできることをやりました」と話し、感謝状に「身に余る光栄です。これからも地域の防災に努めていきたい」。贈呈式には長男の大和君(10)=切目小5年=と二男の武尊君(9)=同3年=も同席し、「頼もしくて格好いいと思います」と笑顔を見せていた。