和食には欠かせない調味料に醤油があるが、食の洋風化や外食の増加などで消費量が減少しているという。さらに醤油売り場にはさまざまなメーカーやプライベートブランドの製品が並び、競争が激化。醤油という商品柄、なかなか個性を出せず微妙な味の違いくらいで、一般消費者からみればほとんど同じだっただろう。そんな中2009年、ある醤油メーカーが「鮮度」に着目した商品を発売。特殊な容器で中身を真空に保ち、酸化を防いで数十日経過しても新鮮な醤油を味わうことができ、その斬新さから一気にヒット商品になった。膠着(こうちゃく)していた醤油業界に「鮮度」という新しい価値を加えることで、消費者の心を動かした。昔から変わらず定番商品として売られていた醤油などは、一見手の着けようがないように思うが、ほんの少しのアイデアで大きな差別化ができる。こういった発想ができる人には感心させられる。
御坊市では毎年夏休みに、少年少女発明クラブの子どもたちを対象に夏休みくふう教室を開いている。少人数で、自分が作りたいものをゼロから考え、和高専OBらの指導者とともに計画的に作製していく。昨年から取材しているが、これまでは小さい子どもが開けられないように開ける際に少しコツがいる引き出し、雨のあとの濡れた傘の乾燥機、ソーラーとセンサーの力で自動的にプランターに水やりをする装置など。子どもならではのユニークな発想に驚かされる。また考えたものを、各分野のエキスパートともに作り上げることは貴重な経験になるだろう。将来、鮮度醤油のようなヒット商品を生み出す人材が地元から生まれることに期待したい。(城)

