筆者の場合、ホウレンソウのおひたしや冷ややっこにはかつお節は欠かせない。かつお節をだしとする和食は何とも味わい豊かで奥深く、料理の味を一層引き立てる。そんなかつお節だが、国道を走ると印南町印南浜公園の「かつお節発祥の地」という看板が目に入る。御坊ライオンズクラブが建てたこの看板のおかげで、以前から印南がかつお節発祥の地であることは知っていたが詳しくは知らなかった。
 先月21日、看板の隣に、江戸時代かつお節に関して偉大な功績を残した印南漁民3人の顕彰碑が建立された。漁民はかつお節の燻製法を考案し土佐で活躍した「角屋甚太郎」、鹿児島県枕崎に製法を伝えた「森弥兵衛」、伊豆、房州へ土佐改良節を伝えた「印南與市」。顕彰碑建立会が彼らの偉業を後世に伝えるために建立した碑で、除幕式ではメッセージや踊りなどで完成を祝った。そのなかで、一般社団法人日本鰹節協会会長の大石訓永さんからの「いま、世界中に注目されている和食の〝だし〟の基礎の一つをなすかつお節は、和食の発展により添い、国民に愛されてきた。これらはひとえに御地の偉大な先人のご功績。和食の伝統を守るという本懐を見つめ直す原点の場として、この地がますます隆盛を極めることを祈念している」という内容のメッセージが紹介され、とても印象に残った。
 近年、数々の化学調味料はあるが、豊かな味を出す日本特有のかつお節には遠く及ばない。体に害のない完全な天然食品として注目も集め、祝儀の贈答品として使われるなど縁起もよい。和食の源のかつお節。顕彰碑を通じて、印南が生んだ偉大な漁民3人とその功績が後世に伝えられていくことを心から願っている。(昌)