柔道競技ミュンヘンオリンピック軽中量級金メダリストの野村豊和さん(66)が14日、印南町の切目武道館を訪れ、地元切目中学校の生徒たちを指導した。柔道は技をかけるチャンスを自分で作る工夫とそのチャンスを生かすことが必要だとし「柔道を通してチャンスをつかむ練習をして下さい」とエール。生徒たちにはその言葉が強く心に響いたようだった。
 野村さんは先月20日にも同武道館を訪れ、柔道に励んでいる小中学生や指導者らにチャンスについて語っていたが、とても印象に残っている。野村さんは、得意技の一本背負いを相手にかける時まったく力がいらないそうだ。力任せでなく、相手の動きに合わせて、ここぞというタイミングで技を仕掛ける。つまり技を仕掛ける〝チャンス〟をものにしているからで、そんなチャンスに導くのも、チャンスを生かすのも日々のたゆまぬ努力の結果であると。天理大学時代にはある大会で、自身の弱点を知り尽くされ練習で幾度となく負けていた強豪の先輩選手に勝利。「1%でもうまくいけば勝てるかも知れない」と挑み、その一瞬の1%のチャンスを生かしたそうだ。
 日常の些細なことから人生を左右する大きなことまでさまざまな形で訪れるチャンス。そんなチャンスをミスミス見逃してしまったり、チャンスと思わなかったり、ものにできなかったり。当たり前のことではあるが、何事もチャンスを生かさなければ成果は得られない。野村さんの金メダルは努力の上でチャンスを生かしたことの積み重ね。野村さんは切目中学校の生徒たちに「将来必ずビッグチャンスが訪れる」とエール。チャンスを生かし、生徒たちの人生が金メダルとなることを願っている。(昌)