20年ほど前の学生時代、クレーンゲームが大ヒットしていた。クレーンを自らで操作し、ぬいぐるみや菓子などをキャッチして所定の位置まで運ぶことができればその景品をもらえるというゲーム。1回数百円で挑戦でき、ゲームセンターには必ずあった。学生時代のアルバイト先では、ブームが最高潮のときには1台の一日の売り上げが数百万円もあったと聞かされ、ゲームコーナーには多彩なクレーンゲームが所狭しと設置されていた。
 そのクレーンゲームが、インターネットを使って楽しめるようになっている。大きな倉庫にクレーンゲームを何十台も設置。自宅のパソコンなどから操作でき、獲得した景品は発送してもらえる。「いつでも、どこでも」挑戦できるのが売り。この商売、結構な人気を集めているというから少し驚いた。
 若いころ、ゲームセンターで彼女に「あのぬいぐるみ、かわいいからとって」とかいわれて挑戦したことはあるが、1人のときにはやってみようと思わなかった。ただ、これはあくまで個人的な感想。世の中には多様なニーズがあり、それに合致させられれば思いもよらぬヒットをかっ飛ばせる。クレーンゲームでいえば、空港で外国人に大人気と聞いたこともある。外国人は帰国前に両替した小銭を使い切りたいようで、サービスの中身は同じでも場所を変えるだけで売り上げアップが可能ということだ。
 昔からある商品、サービスでも新しい技術とうまくコラボさせるなどのアイデアをひねり出せば、再びブームを巻き起こせる可能性はある。目まぐるしく移り変わる時代だが、新しい技術を取り入れていく積極性、柔軟な発想は常に持っておきたいものだ。   (賀)