先日の平日の夕方、学生時代の大阪の友人から十数年ぶりに電話があり、和歌山にドライブに来ているとのことだったので、コーヒーをすすりながら昔話に花を咲かせた。パン店を開業し店長として頑張っている彼は昨年、ヘルニアの手術をして3カ月間休業していたとのこと。長期休業でお客さんが離れてしまうと不安に襲われたが、ことし1月から復帰して再開した途端、大勢の人が来店してくれたことがうれしかったという。毎日朝早くに起き、夜遅くまで仕事をしていた毎日、正直嫌になって辞めたいと思うこともあったそうだが、今回の休業と再開、お客さんの気持ちに触れ、いままでの嫌な気持ちが吹っ飛んだと話していたのが印象的だった。何かとストレスがたまる日々、彼の話を聞いてすがすがしい気持ちになれた。
 ついつい自分のことばかり考えて仕事をしてしまうが、商売なら当然、お客さんがあって初めて成立する。生活していく上で自分の利益を考えるのは当たり前だが、ひとりよがりになってはダメ。新聞も同じで、読者の皆さんがあってこそ成り立つ。読者は何を知りたいと思っているのか、一般住民の感覚を忘れてはいけない、初心に帰れたひとときでもあった。
 景気回復のみじんも感じられない日高地方では、夫婦共働き、家庭との両立、多くの人が一息つく暇もなく毎日を過ごしている。ストレスはたまる一方だが、そんなときこそ少し立ち止まり、深呼吸することも必要だろう。政治家や行政が助けてくれる訳でもない、自分たちで道を切り開いていかなければならない時代。前述の友人の話ではないが、真面目に努力を重ねていれば、誰かがきっと見てくれている。  (片)