関空から日本へ入ってくる外国人観光客が急増している。21年前の開港以来、初めて日本人旅客数を上回り、円安と格安航空会社(LCC)の便数増、ビザ発給要件緩和などが重なったことが主な要因らしい。
波は和歌山にも押し寄せ、昨年1年間の県内の外国人宿泊客数が初めて30万人を突破した。行き先は世界遺産の高野山と熊野古道、白浜や龍神の温泉など。客の国・地域別シェアは香港、台湾、中国が上位を占め、欧米からの客も過去最多を記録した。
これほど多くの外国人が観光や飲食で金を使ってくれるのはありがたい話だが、日本人にすれば、文化も価値観も違う外国人のマナーの悪さが目につくことも少なくない。それが当たり前な彼らに悪気はなく、迷惑をかけようとは思っていないのだろう。
山崎まさよしの歌ではないが、日本人同士でも育ってきた環境が違えば、外国人のように考え方が異なる。一見、日本人とは思えない教育や経済観念も、両親だけでなく親類、近所の人ら周囲のみんなが同じ発想であれば、自分がおかしいとは気づかず、疑うこともない。大きくなって誰かに咎められるといいがかりにさえ感じ、喧嘩になることもある。
外国人観光客の増加は、そんな日本人が狭小なコミュニティから積極的に動き始めたようなもの。和歌山県民も外国人と接する機会が増えるだろうが、マナーの悪さが目に余る観光客に出くわしたときは、目を伏せず、同じ日本人に対するつもりで注意しなければならない。
日本人のマナーをいくら黙って見せても、気づいてもらえることは少ないだろう。これからの日本社会はそのしんどい作業の積み重ねが必要で、それが人と異文化の交流、相互理解へとつながる。 (静)

