先日、美浜少年剣道クラブ主催の親善大会を取材した。剣道競技は今まであまり取材をする機会がなく、じっくりと試合風景を目にしたのは今回が初めてである
勇ましく声を出しながら竹刀を交わす少年少女剣士達の戦いを、集中して目を凝らして見たのだが、どのタイミングで審判の旗が上がったのか、どちらが勝ったのか負けたのかよく分からない。ルールをよく知らないせいもあるが、とにかく気合と速さに圧倒される。難しい競技だと思った
その後調べてみると「有効打突」すなわちポイントになる打突は、「充実した気勢」「適正な姿勢」などの条件を満たす状態で打ち出されることが必要だという。充実した気勢とは、十分な気合と発声。適正な姿勢とは文字通り、正しい姿勢。崩れた姿勢で打っても認められない。心身の凛々しさが求められる。筆者は自分がそうした部分に欠けるので、特にそのような境地に憧れを持つ
近年は中学校の体育授業で武道が必須となっているが、30年以上前の筆者の中学生時代には、体育の授業で1、2回ほど竹刀を持っただけだった。その頃愛読していた下村湖人の「次郎物語」に、主人公で中学1年生の次郎少年が生涯の師となる朝倉先生と出会い、剣道を学ぶ意義を尋ねる場面があった。朝倉先生は、幕末の幕臣山岡鉄舟は剣の達人だったが生涯人を斬らなかったという話をし、「活人剣」という言葉を次郎に教える。人を活かす剣である。戦うためでなく「みごとに生き、みごとに死ぬため」に剣を学ぶのだ、と。剣道というとこの言葉を思い出す
大会では、その場に出入りする人達は選手だけでなく保護者も、必ず一礼して会場に入っていた。武道は心身を磨く道であることをあらためて思った。 (里)

