きょう21日午後1時半から日高高校箏曲部、翌22日午後6時から同合唱部の定期演奏会が、いずれも御坊市民文化会館で開かれる。毎年この時期に楽しみにしている取材の一つだ◆ことしの箏曲部は総勢6人。前半は古曲、後半は現代邦楽を中心に演奏する。練習風景の取材では、吉崎克彦作曲「グリーン・ウィンド」の一部を拝聴した。同部の定演ではお馴染みだが、今回は童謡や歌曲のメロディーを織り込んで演奏するという趣向。「荒城の月」の旋律は心をしみじみと震わせてくれた。わずか6人の琴から出る音とは思えないほど、響きには凛とした力がある。客席で聴くのが実に楽しみだ◆合唱部も高校生部員は6人、附属中生の部員も合わせて総勢13人になる。練習ではミュージカル「美女と野獣」の一部を拝見。楽しさいっぱいの舞台を観客に提供するためにも、練習では微塵の緩みもないきりりとした雰囲気で、細部にまでこだわり抜いて演技を繰り返す。思い描く理想のステージの実現へ、妥協はできないという気迫が伝わってきた。歌もダンスもパワフルで、舞台の上に見事に別世界を出現させてくれそうだ◆筆者は高校時代、ギター・マンドリン部に所属。部員数は十数人だったが他の音楽部に比べると弱小部で、人数の多い部に迫力で負けるのは当たり前と思っていた。しかしそうではなかった。人数の多少の問題ではなく、舞台芸術には一人一人の心映えが明らかに出るのだ◆少人数だからこそ、聴く人の心を捉える繊細な表現ができる。また心次第で、人数を感じさせない気迫のこもった音色や歌声を響かせられる。プロの舞台とはまた違う、ひたむきな清々しさがそこにはある◆3年生には高校生活を締めくくる舞台でもある。心して鑑賞したい。 (里)