太平洋沿岸に津波警報が発令されているという情報が流れ、何があったのかとテレビをつけて初めて東北で大きな地震があったことを知った。その日はみなべ支局で勤務していて、沿岸にも津波が到達するとのことで、海が見渡せる国民宿舎紀州路みなべ付近でしばらく眺めていたのをきのうのことのように思い出す。その後、テレビから流れてくる津波のすさまじい威力、夜の報道番組では「一つの集落が壊滅したとの情報もあります」などとアナウンサーが伝え、背中が凍りついたことは忘れられない。
 東日本大震災から11日でもう4年たった。進まない復興の現状、家族を失った方々の癒えることのない心の痛み、これらの新聞記事を読んでいるだけで胸が詰まる。あの日以来、命の尊さを多くの国民があらためて感じたはずだったが、ことしに入ってからだけでも和歌山県紀の川市の小学生殺害、川崎市の中学生惨殺、兵庫県洲本市では男が近所の男女5人を殺害したとして逮捕されるなどむごたらしい事件が後を絶たないのが気になる。命の重さ、互いを思いやる心、支え合う気持ち、これも東日本大震災から学んだことの一つ。あの日抱いた思いを、もう一度それぞれの心に思い浮かべてほしい。
 被災地では、新たな防潮堤の建設や宅地のかさ上げなど計画されているが、まだまだ道半ばという。日高地方では3・11を教訓に、これまで以上に避難路の整備、建物の耐震化などインフラ整備は着実に前進したといえる。避難訓練も盛んだ。しかし、近くに避難道があるから、いつも訓練しているから、高台に家があるからと安心していないか。「揺れたらより早く、より高く」をいま一度肝に銘じよう。 (片)