日本語には花の終わりを表現する特別な言い回しがある。椿は「落ちる」、牡丹は「崩れる」などがそうだ。日本を代表する桜は「散る」と言われるが、花の状態以外にも「試験に落ちた時」「願いが叶わなかった時」に使われることがあり、特別な意味も持っている。当地方を代表する梅は「こぼれる」と表現される。日本語の言い方には美しさが感じられる
 梅どころのみなべ町では今、梅林も満開で美しい。例年より1週間程度遅れたが、見ごろを迎えた南部梅林、岩代大梅林では連日の観梅客でにぎわいを見せている。22日の日曜日はあいにくの天気だったが、21日の土曜日には今シーズン最高の人出となった。山斜面の一面が白いじゅうたんを敷いたような景色は爽快で、早春の香りを運んでいる
 同町には観梅シーズン期間中に3~4万人の観光客が訪れる。楽しめる催しが集中するのもこの時期だ。ことしも梅干しおにぎりを握る人数に挑戦するイベント、うめ振興館などでは物産展、鶴の湯温泉や清川地区では感謝祭や里山まつりが行われた。イベントを通じて町外へ梅をPRするには絶好の機会。言い換えれば観梅と梅の消費拡大には相互関係があり、町外へ梅の良さや魅力などを発信するという意味で重要な時期でもある
 梅の花が終わると、梅林は観光の場から梅の果実を生産する場へと変化する。最近は食生活の変化などで青梅や一次加工品の梅干しの消費が落ち込んでいる。価格は低迷し、梅農家を取り巻く環境は厳しい。消費拡大へつなげるPRはより一層重要になっている
 梅の花がこぼれ、6月には実を付けて収穫時期を迎える。その頃には梅農家に笑みがこぼれていることを願う。        (雄)