県が印南町高串地内で進めていた切目川ダムの試験湛水は、このほど最高水位の160㍍を達成。検査の結果、ダム本体と貯水池の安全性が確認された。残す工事は周辺道路や護岸整備などで、予定通り平成27年4月1日から供用を開始する。
 試験湛水は実際にダムの最大貯水位(一時的にためられる最大水位)まで水をため、水漏れがないかなど堤体や基礎地盤などの安全性を確認する作業。昨年10月20日に工事用の「仮排水路」を閉じ、また水量を調節して洪水を防ぐための2カ所の「常用洪水吐き」も閉じ、満水の160㍍目指して湛水を開始。11月末には150㍍に達し、以後も順調に推移し、1月27日に160㍍に到達した。その後24時間水位を保持し安全性を確かめた後、利水用の放流口「取水放流口」から放流して水位を低下させ、2月13日に常時満水位の149㍍まで下げた。湛水とともに行ってきた基礎地盤の検査なども問題なくクリアしたため、運用開始を決めた。近く「常用洪水吐き」を防いでいるゲートも開放し、実質的に供用開始時と同じ状態になる。
 ダム湖周辺を走る道路やダム湖の護岸工事は引き続き行っていき、3月中に完成。4月1日の供用開始を前に、完成式などを予定している。
 切目川ダムは洪水被害や渇水被害の軽減を目的に平成3年度から事業開始。高さ44.5㍍、集水面積は21.9㌔平方㍍で、総貯水容量は396万立方㍍。日高川町の椿山ダムのようにゲートを使って人為的に放流するタイプではなく、28㍍地点に2カ所ある幅2.8㍍、高さ2.9㍍の「常用洪水吐き」から水を自然に流すことで、水量を調整し洪水を防ぐ「自然調節方式」を採用している。普段の利水用の放流は、ダム湖側に6カ所ある「選択取水口」を使って必要な水量を取水し、「取水放流口」から流すようになっている。総事業費は約159億円。