戦前、カナダに実在した伝説の日系移民野球チーム「バンクーバー朝日」。体の大きな白人チームを相手に、送りバントやエンドランのスモールベースボールで活躍し、一躍、人種間の壁を超える友好の象徴にまでなった。しかし、昭和16年の大東亜戦争勃発により状況は一変。日系人は「敵性外国人」として排除の対象となり、選手や街の人たちは住む家を追われた。
 この物語は妻夫木聡を主演に石井裕也監督が映画化、20日から全国公開される。同じような日本人移民の野球の話では、和歌山県出身の作家佐山和夫氏が約20年前に書いたノンフィクション『二つのホームベース』も忘れられない。カリフォルニアの高校で「黄金の二遊間」と呼ばれた日系二世の2人は、1人がアメリカへの忠誠を誓い、1人は逆に強制収容所に送られた。差別と迫害を乗り越え、戦後、五十数年ぶりに再会する2人に胸が熱くなる。
 来年は終戦から70年。戦争を題材にした映画やドラマが多く制作される。なかでも注目は、岡本喜八監督以来、48年ぶりのリメイクとなる『日本のいちばん長い日』。原田眞人監督が主演の阿南陸相に役所広司を据え、昭和天皇に本木雅弘、鈴木総理に山崎努、畑中将校に松坂桃季で臨む超大作で、8月に公開される。
 この物語は本土決戦の徹底抗戦を主張する陸軍の暴発、宮城事件が軸となる。4人の首謀者の1人、椎崎二郎中佐は美浜町入山の出身で、畑中の暴走を抑えながら冷静沈着に作戦を実行するが、クーデターは失敗に終わり、最後は皇居に向かって自決する。
 『バンクーバーの朝日』と『日本のいちばん長い日』。この2本の映画はいずれも日高地方にゆかりがあり、日本人必見、ぜひ見ていただきたい。
       (静)