1968年12月に東京都府中市で現金3億円を積んだ銀行の輸送車が白バイ警官の格好をした男にだまされ、輸送車ごと現金が奪われるという事件が発生した。いわゆる「3億円事件」で、筆者が生まれる前の話。銀行の輸送車は東京芝浦電気の社員のボーナスを運んでいる途中だった。この事件以降、いまではごく当たり前の給与の銀行振り込みが広まったといわれ、物事にはなんでも始まりのきっかけがあるのだなとあらためて感じた。
一つの事件、出来事、災害をきっかけに世の中が変わるということは本当にいくらでもある。阪神大震災のあとには建物の耐震化が強化され、ボランティアの意識も一気に高まったといわれている。記憶に新しい東日本大震災以降は津波の対策が大きな問題となり、現在進行形で防災に関する事業が各地で取り組まれている。その他、火災、交通事故等々、「そういえば、あのことから安全対策が強化されたり、これまでと仕組みが変わったな」と調べてみればどんどん出てきて、それを始まりに世の中が少しずつ変わっている。
さて、14日に投開票の衆院選。師走に突然の解散総選挙となり、終盤になっても盛り上がったという気配はない。「アベノミクス」と呼ばれる経済対策、消費税について問われるだけでなく、集団的自衛権を含めた国の安全保障、原発、子育て支援や高齢者対策などの福祉施策など、今後の方向性を決めなければならない問題は山積していても、有権者は冷めたムードだ。世の中を変えるのは事件や事故だけではない。一番の手段は、いわずもがな選挙での投票行動。何年か先、あの総選挙で日本がよくなったと思えるようにするためには、必ず一票を投じる必要がある。 (賀)

