御坊市制施行60周年記念事業、歴史文化遺産フォーラムを取材した。2日間で自然編・歴史編・祭礼編の3部構成。休憩を除いて延べ9時間ほどに及ぶ、濃密なプログラムである
 当初の予定にはなかった、市文化賞受賞者で歴史学博士の小山譽城さんによるミニ講演が非常に印象に残ったのでここで紹介したい。わずか15分でフォーラムの全分野を総括し、方向性を指し示す羅針盤の役目を果たされたように思えたのだ
 まず自然編の発表を控えた高校生に「生物学と歴史学は一生続けられる学問」と激励。実感のこもった口調に、本当にそうだと感銘を受けた。そして「なぜ?」と考えるところから歴史の面白さは始まる、と示唆。弥生時代、最古の青銅器鋳型がなぜ御坊から出土したのかと考えると、海が当時の重要な交通ルートだったことが浮かび上がる。かなり時代が下ってもそうだったことは、そのあとの歴史編・祭礼編でも折に触れて語られた。祭の四つ太鼓も海を渡って伝わったのかもしれない、と
 そして亀山城主湯川氏を中心とした中世から、本願寺日高別院創建で「御坊」が生まれて近世へ。寺院は普通南向きに建てるが、日高別院は真っすぐ亀山城跡を向く。かつての城下町を意識して建てられている。日高別院の現在地への建立時は、秀吉の紀州攻めで湯川氏が滅びてまだ10年ほどだったのだ。歴史の流れは確かに連綿とつながり、因果を形成している
 歴史や文化は義務としてやむなく継承するというより、学べば学ぶほど「誰も知らないのはもったいない」と感じさせる宝物。誰かに理解されて初めて価値を持つ。フォーラムによって少しでもその魅力が発掘され、多くの人の心に刻まれたならいいと思う。   (里)