みなべ町から新宮市までのJRきのくに線をアートで彩る「紀の国トレイナート2014」(同実行委員会主催)の出発式が24日、始発駅となるJR南部駅で行われた。駅舎内でジャズや吹奏楽が演奏され、構内の跨線橋(こせんきょう)に描かれた壁画も披露。同日午前10時58分に、車内でジャズ演奏が聴ける列車が串本方面に向けて出発した。
 みなべ町から新宮市まで9市町にまたがる広域的な事業で、JR西日本などの協力を得て実施。JRきのくに線の各駅を舞台に、芸術的なイベントが展開される。事業名の「トレイナート」は、「トレイン(列車)」と「アート(芸術)」を合わせた言葉。
 出発式のオープニングでは、地元の梅の里民謡クラブがプラットホームで「紀州梅音頭」と「鹿島音頭」を披露。待合所では南部高校吹奏楽部のメンバー16人が「小さな恋のうた」など2曲を演奏した。続いて田辺市龍神村在住の音楽家、唐口一之さん(トランペット)ら4人でこの日のために結成したジャズバンドがきれいなメロディーを奏で、訪れていた近くの住民や利用客らを楽しませた。10時58分発のトレイナート号には唐口さんら演奏家が乗り込み、車内でもジャズが演奏された。乗車した田辺市学園、杉本富美子さん(66)は「間近で演奏を聴くことができて、若返ったような気がします」と笑顔を見せていた。 
 「トレイナート」の一環で、ことし6月から同駅構内の跨線橋(約10㍍区間)の壁に描かれていた壁画も完成し、利用者らに披露された。
 実行委員長の廣本直子さんは「『日常にアートを』をスローガンに取り組んできた。ぜひ電車に乗ってもらい、アートを通じてつながりの輪を広めてもらいたい」と話し、小谷芳正町長は「町の玄関口をにぎやかにしていただいた。ぜひ列車に乗って芸術に触れ、心身をリフレッシュしてもらいたい」と歓迎した。26日まで紀伊田辺駅、周参見駅、新宮駅、串本駅などで「サンマずしトークショー」や茶会など多彩なイベントが展開される。