幼少期を御坊日高で過ごし、1964年の東京オリンピック誘致を実現させた故和田勇氏(アメリカ名=フレッド・イサム・ワダ)を描いたテレビドラマ『東京にオリンピックを呼んだ男』が、11日夜9時からフジテレビ系で放映される。フジテレビの開局55周年記念スペシャルドラマで、和田勇役は大沢たかお、妻の正子役は常盤貴子。制作に協力した御坊ロータリークラブでは「御坊日高が生んだ偉大な和田氏のことを知ってもられば」と話している。
 和田氏は唯一の御坊名誉市民。平成13年2月12日に死去。御坊市名田町祓井戸出身の父善兵衛と由良町戸津井出身の母玉枝の長男としてアメリカワシントン州で生まれ、4歳のときから9歳まで祖父母の元で暮らした。以後アメリカに戻り、戦時中は2つの祖国が敵対し合うという試練を乗り越え、日本復興のために東京オリンピック誘致に尽力。正子さんとともに自費でヨーロッパや南米を訪問し、各国の委員に協力を要請するなど誘致実現に大きく貢献した。
 昨年、1964年以来2回目の東京オリンピック誘致が決まり、同局では記念ドラマとして初めて日本にオリンピック誘致を成し遂げた和田氏を題材とする作品を手掛けた。原作は高杉良の『東京にオリンピックを呼んだ男』(光文社)、制作協力は角川大映スタジオ。キャストは大沢、常盤のほか、萩原聖人、勝地涼、中尾明慶、小澤征悦、泉ピン子、橋爪功、西田敏行ら。
 御坊ロータリークラブでは、創立50周年を迎えた平成16年から和田氏の顕彰事業を展開。50周年記念事業として和田氏の長女、グレース・美弥子・宮本さん、和田氏と親密な関係にあった水泳選手でJOC会長の故古橋廣之進さんを招いて講演会を開催したほか、地域社会に貢献した人をたたえる「和田勇賞」を創設。毎年、「和田勇賞」とともに、日高地方の小中学校に和田氏の絵本やビデオを配布し感想文を募集するなど顕彰に努めている。今回、ドラマ制作のため角川大映スタジオのスタッフが日高地方を訪れ、御坊ロータリークラブが取材に協力。会員の岡本恒男さんは「全国の皆さんに、敗戦で荒廃した日本に勇気と希望を与えてくれた和田氏のことを知ってもらうとてもいい機会。地元の日高地方の皆さんにもぜひドラマを見ていただきたい」と話している。