御坊市外五ケ町(日高)病院経営事務組合議会の定例会が30日に同病院で開かれ、11月1日から本格的に開設する心臓病や血管の病気の専門科「循環器内科」に導入する専用機器2台(約5500万円)の購入を承認した。同科の専門医も今月1日から予定していた5人体制が整っており、今後は機器の設置やスタッフ訓練を進める。
 同病院ではことし4月から新診療・管理棟の2階に循環器内科の外来を設けていたが、医師は1人で、設備も整っていない状況だった。しかし、医師派遣要望を重ねていた和歌山県立医科大学から追加派遣の話があり、5人体制での本格診療が実現した。これに伴い、エコー室や心疾患集中治療室(CCU)、リハビリ室などに設置する専用機器の購入、エコー室の改修で合わせて約1億5000万円を投入。専用機器のうち2000万円以上は議会承認が必要となっており、今回の定例会ではモニタリングシステム一式2376万円と超音波診断装置(心エコー)一式3294万円の購入で承認を求めた。
 一般的に循環器内科の対象疾患は狭心症や心筋梗塞(こうそく)、心臓弁膜症、不整脈、感染性心内膜炎、高血圧症、大動脈瘤(りゅう)、肺梗塞など。高血圧、糖尿病、喫煙習慣、高脂血症など循環器疾患のリスクの高い人は定期的な診察がよいとされている。日高病院では24時間体制で救急にも対応。日高地方のほか、循環器医療の病院がない有田の南部地域(広川、湯浅、旧金屋町等)も救急や消防の第一搬送病院に指定されることから、紀中エリアの循環器医療の拠点となりそうだ。
 定例会では平成25年度決算も承認。それによると25年度は6億9742万6894円の赤字。要因は休床や入院患者減少、診療報酬返還など。累積赤字は20億6018万3890円にものぼる。ただ、同病院では内部留保が約19億円あり、赤字でもいまのところ経営に大きな問題はないが、運営改善を求める声が出ている。そういった中、11月から本格的に開設される循環器内科は、多くの患者が見込まれており、収入アップの面でも期待されている。