台風11号が日高地方にも土砂崩れや浸水、冠水など大きな爪痕を残したことは既報の通り。けが人が出なかったことが不幸中の幸いだった。台風の影響が出始めた8日夕方までは数日間まったく雨が降っていなかったので土壌が水を含んでいなかったこと、9日の午後から半日間は雨がやみ晴れ間も出たことなど、いくつかの幸運があったからよかったが、あのまま雨が降り続いていたらと考えるとぞっとする。濁流となった日高川を見ていると、平成23年9月の台風12号による大水害の悪夢がよみがえってきた人も多かったろう。
 日本で、日高地方で生活するからには自然災害が常に隣り合わせにあるのは当然。だからこそ予防や被害を最小限にくい止めるために知恵とお金を出して対策をとってきた。が、ここ数年は対策を超えるような雨が降るようになった。3年前の紀伊半島大水害がいい例だ。あれからわずか3年足らず、積算雨量は半分以下だったが、日高川の増水ぶりに肝を冷やした。復旧してそれほど経っていない藤井多目的グラウンドはまた被害を受けた。あの水害以来、近い将来にまた起こるのではとの恐怖が頭をよぎって仕方ない。
 先に来た台風12号と今回の11号で、高知県では8月1日から10日間で積算雨量が2000㍉を超えた地域もある。温暖化で台風の勢力が強くなっているのも事実。そんな中で、「大雨よ、降らないで」と祈るしか手立てはないのだろうか。3年経って以前の生活を取り戻した人、農作物や農地が被害を受け、まだ元の生活水準に戻っていない人もいる。また氾濫なんてことは絶対にあってはならない。何ができるのか検討が必要だろう。   (片)