日高地方PTA連合会主催の講演会「スマホとポータブルゲーム機の危険」を取材した。「ガラケー」使用者の筆者に理解できるかどうかと心配しながら臨んだが、講師のNIT情報技術推進ネットワーク代表篠原嘉一さんは豊富な事例を交え、分かりやすく語ってくれた
 古いスマホを不用意に子どものおもちゃにしたり、無料通話アプリ「ライン」に親類の女の子のかわいい画像を投稿したりといった気軽な利用が犯罪など恐ろしい結果を引き起こす。そういった不注意なSNS利用の弊害、そして子どものネット依存という問題が、実際的な面と本質的な面の両方から語られた。実際的な対策では、ラインでの個人情報流出は設定の段階で気をつければ防げるとして、具体的な方法も紹介。そしてネット依存問題の本質は、現代社会に生きる子どもたちが多大なストレスを抱えていること。「ネットの向こうの見知らぬ人物に子どもを取られないよう、子どもを孤独感や疎外感に陥らせないで。きちんと話して、興味のあることに一緒に興味を持って」と篠原さんは訴えていた。以前は子どものカウンセリングをしていたとのことで、子どもとネットを巡る現状を真に憂い、機会を捉えて少しでも有効な啓発をしたいという熱意が伝わってきた
 個人的に印象に残った事例は、「スマホをおもちゃ代わりにしている赤ちゃんが絵本のページの上で指をスライドさせ、絵が動かないので泣く」という話。物つくはるか以前から情報機器に親しんでいることが成長にどう影響するか想像もつかない。ただ、日常にネットがある時代とそれ以前の時代、両方をよく知る世代には、それが世の中をどう変えていくかしっかり考えながら見届ける責任があるように思う。 (里)