認知症の人や家族、支援者、一般の人が全国を走りながらたすきをつなぐ「RUN TOMO-RROW(RUN伴)」が、今月12日に北海道からスタートした。だれもが認知症を自分ごとだと捉え、認知症になっても安心して暮らせる地域を作っていこうと4回目。ことしは10月11日に御坊市役所を出発して大阪府岬町役場まで向かう和歌山ルート(副線)を初設定しており、8月6日を締め切りに参加者やサポーター、運営ボランティアを募っている。
 全国規模のイベントでなぜ御坊市出発のルートが設定されたのか。実は御坊市には、認知症の人や家族が定期的に意見交換会などを開く目的で、福祉事業所や行政などの有志がサポートする「根っことんと」という自主サークルがある。このメンバーが昨年、大阪のコースでRUN伴に出場。地元の認知症の人や家族が参加して大喜びだったという。ならば「今度はふるさとの和歌山を舞台に走ってもらおう」ということで、RUN伴を主催するNPO法人認知症フレンドシップクラブにお願い。御坊市出発のルートが実現した経緯がある。
 認知症については正しい理解や偏見を持たないこと、そして周囲の人の温かい見守りが大切とされるが、たすきリレーを通じて心が一つになるRUN伴は、うってつけのイベントだと思う。そして、そんなイベントを御坊市に引っ張ってきたサポーターの熱心さや積極性は地域住民にとって大変頼もしいものではないだろうか。認知症の人を家族に持つ人の大変さはよく耳にするため、軽々しいことは言えないが、一層地域全体で認知症の人を支えるまちになってくれればと願う。  (吉)