昔から「梅にウグイス」とよく言われる。しかし、実際に梅の木に止まるのはウグイスではなくメジロ。花札に描かれているのも梅とメジロで、これからすれば「梅にメジロ」ということになる。なぜ、「梅にウグイス」と言われるのだろうか。それは梅の木にウグイスが来るという意味ではなく、2つのものが調和したり似合っていたりすることの例え。早春の象徴として親しまれているのが梅とウグイスで、今風に言えば2大スターのコラボといえる。
みなべ町は、そのスターの1つの梅が日本一の産地。しかし、近年は消費が低迷して価格が下落。十数年前には10㌔入の青梅が1万円を超す値段で取引されたこともあったが、いまでは半値以下という。農家経営も厳しい状態で、急傾斜地の栽培が困難な畑では耕作放棄地もみられ始めた。関係機関では販路の拡大などに躍起で、梅の消費拡大に力を入れている。
しかし、町の経済を牽引する梅産業も永久的に好景気が続くとも限らない。ミカンなど他の耕作物をみてもかつてのような勢いはなくなった。梅といえど例外ではないだろう。いつかは衰退してしまう時期が来るかもしれない。
ブランドとなっている梅は守りつつも、新しい産業の開拓が必要な時期に来ているのではなかろうか。農家の経営でも他の有力な作物と複合栽培することで安定する。農産物や水産・林産物のさらなるブランド化を進めたり、違った産業に目を向けたりする取り組みも必要になってくる。もちろん一朝一夕にはいかないが、梅に並ぶウグイスのようなスター産業の創出も考えるべきではなかろうか。 (雄)