静岡県の漁港に幻のサメといわれる深海魚のメガマウスが水揚げされた。このところ深海魚が捕獲されるニュースが後を絶たない。ことし1月以降、日本海でダイオウイカが相次いで定置網にかかったり、太刀魚のお化けのようなリュウグウノツカイ、サケガシラも数例が発見されている。リュウグウノツカイに代表されるように、これら深海生物が打ち上げられると、地震の前兆ではとよくいわれる。ことしのように、これだけ頻繁に見つかると、そういう見方が多くなるのも仕方ない。
 はっきりした原因は分からないが、海水温の変化が影響しているとの見方がある。日本近海だけでなくアメリカなど外国の海でも同じような捕獲例があるようで、地球規模で今までと違う何かが起こっているのは事実だろう。ただ、それを地震と直結させるのは不安をあおるだけで、過剰な心配は禁物。地球温暖化の影響も指摘されており、未知なる海底での出来事といっても、原因は人間が作り出したのかもしれない。地震に用心するにこしたことはないが、もっと身近な危険であり、まさに温暖化の影響だろうゲリラ豪雨や巨大台風などに備えるよう、深海生物たちがメッセージを送っているようにも思える。
 昨年10月、36人が死亡、3人が行方不明になった伊豆大島の土石流被害から16日でちょうど半年がたった。和歌山県にいる限り、土砂災害は隣り合わせの危険の一つで、対岸の火事ではない。これから梅雨の長雨、夏の集中豪雨、秋の台風と雨災害に警戒が必要になってくる。地震・津波対策だけでなく、過去の事例に学び、大雨による浸水から安全に避難できるマニュアル作りも必要な時代だろう。  (片)