御坊市の社会医療法人黎明会(北出俊一理事長)が行ってきた北出病院の外来・一般病棟の新築工事が完成し、20日から診療をスタートする。昨年6月に1期工事が完了しており、今回の2期工事で病棟全体が出来上がった。2期工事のメーンは透析室で、これまでの17床から30床に増やし、県内でも珍しい最新型の全自動透析装置を導入。非常電源も確保しており、災害支援病院としての役割も充実させた。
 同病院の一部施設が築40年近く経過して老朽化し、耐震性を備えて安全な医療を提供しようと平成24年から旧病棟の北側へ新病棟の1期工事に取りかかっていた。1期工事は昨年6月に完成し、急患の診療態勢を充実させたほか、MRIやCT、マンモグラフィーなど検査機器も最新型に更新していた。
 今回の2期工事では新病棟の玄関、1階待合、2階の調理実習室などを整備した。中でも4階の透析室は県内でも屈指の装置を取り入れた。これまでは管の切り替えや洗浄などを手動で行っていたが、新しい装置はスイッチを押すだけですべて自動で行ってくれる優れものだ。6時間以上の長時間透析や夜間透析にも対応できるようにしている。南海トラフの巨大地震などに備えて4階に配置したほか、非常電源として自家発電装置を完備。停電しても透析でき、御坊医療圏の中の災害支援病院としての役割を果たす態勢を整えた。
 調理実習室は、糖尿病など食事制限が必要な患者や家族を対象に、栄養士が実際にカロリー計算した料理の作り方を指導する。北出理事長は「これで患者さんに安心して医療を受けてもらえる。これからも地域医療の充実に貢献できるように努めていきたい」と話している。