ことしも市民教養講座のチケットが発売となった。例年通り講師は6人。5月25日に林修、6月14日に岡部まり、7月12日に三遊亭好楽、9月6日に荒木由美子、10月25日に青山繁晴、1月17日に米良美一の各氏というラインナップだ。
 平成25年度の6講座を振り返ってみると、医学博士の川島隆太さんは手際よくポイントを伝え、実際に役立つ知識も与えてくれる「効率的」といっていい講演。「ちちんぷいぷい」でおなじみ、淳一さんの語りはマイペースで自由そのもの、肩の力の抜けた感じがいい味を出していた。書家の金澤泰子さん・翔子さん母子は困難を乗り越えた体験自体に圧倒的な迫力があり、書のパフォーマンスも含めて自然な感動を呼んだ。落語家の林家たい平さんは全体的にくまなく笑いをちりばめながら、心を強く動かす骨太なエピソードを中心に持ってきて話を展開。計算され尽くした構成で、さすが噺のプロと感じ入った。バレーボール女子全日本監督の眞鍋政義さんは淡々とした話しぶりが一層やってきたことの凄さを際立たせ、中身の濃い講演になっていた。人形劇俳優・演出家のたいらじょうさんはさわりの部分だけ披露してくれた人形劇が印象的で、いっそのこと講演より本格的な舞台が見たかった。
 全6回の通し券で購入しなければならない市民教養講座には、聞き比べてみる面白さがある。プロがそれぞれの世界について90分間語ってくれるのを聴く。こんな贅沢な時間はない。筆者は担当記者としてこれまで87人の講演を聴いたが、どれも貴重な学習体験であり、心の財産といっていい講演も幾つかある。6通りのさまざまな世界を垣間見られる各90分。ぜひ6回通して聴いてみてほしい。     (里)