御坊商工会議所が5月25日に催すごぼう商工祭で、「鯛麺(たいめん)」料理復元イベントが行われる。
 鯛麺は江戸時代に瀬戸内地方から御坊に伝わり、戦前まで結婚式などで振る舞われていた祝宴料理。伊万里焼や南紀男山焼の大皿にゆでたそうめんを波状に敷き、塩焼きの大鯛を乗せて床の間で披露。祝宴の締めに鯛の身をほぐして、温かいダシを入れて「にゅうめん」で食べ、大皿を拝見する「皿見せ」があったと言われている。
 そんな鯛麺の試食会が去る11日に会議所関係者やマスコミを招いて開かれ、筆者も味見。かつおだしを使った上品な味で、焼いた鯛の身のうま味がよくマッチしていた。彩りに添えられている甘辛く煮込んだニンジンも味のアクセントとなってよかった。祝宴の締めの料理ということだが、なるほど酒を飲んだあとでもつるつる口に入り、胃にやさしい料理のような気がする。ちなみに飲みにいったあとにラーメンを食べる人もいるが、めん類を締めに食べるのは、この鯛麺がルーツらしい。
 そういったわけでなかなかイケる鯛麺だが、商工祭での復元イベントという一過性のものではなく、地元の名物料理として定着できないかと思う。ただ、昔から伝わる50㌢以上の大皿と鯛を使うとコスト的にも一般向けではないので、小さい皿と鯛で1人前のミニサイズを考案。それを市内の料理屋でメニューに加えてもらうのである。
 御坊では寺内町観光が着実に注目を集めつつあり、鯛麺は見た目のインパクトと味、そして古い歴史を持つ寺内町らしい料理として観光客から喜ばれるのではないだろうかと思う。     (吉)