毎年5月3日はみなべ町埴田、鹿島神社の明神祭。江戸時代の大地震による津波が押し寄せてきた際、鹿島に鎮座する大明神が波を2つに分けて被害を最小限に抑えたという言い伝えから始まった祭りだ。当日は鹿島で神事が行われるほか、神社周辺にも露店が並ぶ。
 しかし、近年は参拝者が減少傾向にあるという。地元住民らは「以前は山間部からの参拝客のために臨時バスが出たほどだった。近くの南部海岸でも盛大にもち投げが行われ、大勢でにぎわった。いまは昔のようなにぎわいがなくなった」という。筆者もみなべ町の出身ではなかったが、小学生の頃には友達と自転車や電車を利用して訪れた思い出がある。もちろん祭りのいわれなどは知らなかったが、大勢の人ごみに紛れて露店でゲームなどをするのが楽しかった。
 祭りの参拝者が減少しているのは明神祭だけでなく、日高地方の秋祭りでもそうだ。近年は屋台の担ぎ手不足が言われ始めている。日程についても、昔は平日でも行われてきたが、近年は少しでも参加しやすいようにとほとんどが日曜日に変更した。
 ことしの明神祭では以前のようなにぎわいを復活させようと、神社の総代らがイベントを企画。シンセサイザー奏者の松尾泰伸さん、地元の北道太鼓、昨年の秋祭りで初めて巫女の舞を披露した子どもたちの舞台が予定されている。祭りの普遍的な部分を残しながら、少しずつ変えていく時期にきているのかもしれない。物事を盛り上げるには誰かが先頭に立って音頭をとる必要があるように、今回の催しが祭りのにぎわい復活へ先導となることに期待したい。     (雄)