先月27日に亡くなられた前日高町長の中善夫さん。2月26日の入院直前、「ちょっと(少しの間)入院するんで、また頼んどか」と電話をもらった。以前もそうだったが、自身の病気についても正直に話す。本来、政治家は選挙で不利になる体調のことは公表したくないものだが、そんなそぶりも見せなかった。初当選時に掲げたスローガンの一つ、「誠実」の2文字は町長の仕事ぶりや人柄をよく表しているなと思い起こし、あらためて心からご冥福を祈りたい。
 町長が不在となった日高町では5月6日告示、11日投開票の日程で首長選が行われる。告示まであと1カ月ほど。出馬が確実視されている人はいるものの、いまだ正式な名乗りはない。現職町長死去の悲しみが広がる中、立候補の表明を行うのは勇気がいる。さらに短期間でのリーダー選びとなり、選挙後にしこりを残さないようにしたいなどとの思惑も加わり、様子見の状態が続いているといったところだろうか。しかし、行政の停滞は許されない。新町長選びは待ったなしの状況だ。
 町の一大事。先頭に立って頑張ろうとの意思を持っている人がいれば、とにかく速やかに出馬表明するべきである。決意や公約を示し、町民に対して新町長にふさわしいかどうかを考える時間を少しでも長く提供してほしい。立候補する人にとってもそれは、町民の視線や声を受けられる機会が増えることになり、リーダーにふさわしい人として洗練されるのに大いに役立つ。両者ともメリットは多い。誰が出馬するにしても早く表明してもらいたい。
 町の舵取り役を選ぶのには短すぎるこの首長選。選挙までに残された時間を有効に使い、新町長を選びたい。    (賀)