日高川町は高津尾の日高川交流センターに太陽光発電設備を設置。きのくに中津荘と中津温泉あやめの湯鳴滝には薪ストーブを導入し、運用を開始した。いずれの施設も災害時の避難施設に指定されており、災害に伴う停電時には電力や明かり、暖房の確保を図ることができる。防災拠点の機能強化へ期待は大きい。
 災害に強いエネルギーシステムの構築を目的とした県の地域グリーンニューディール基金活用事業。交流センターは約500人、中津荘は約190人、あやめの湯は約80人収容できる避難施設で、防災拠点の強化を目指して導入した。交流センターの太陽光発電設備は、施設南側にある2階会議室の屋上へ最大出力238㍗の太陽光パネル42枚を設置。発電能力は10㌔㍗アワーで、年間発電量は9855㌔ワットアワー。ほか15㌔㍗アワーの蓄電池1台と200㍗のLED照明3基も導入した。これによって災害などで停電になった場合でも非常用電源として電力を供給。必要な電気器具の使用や明かり、暖房の確保を図るほか、平成23年9月の台風12号豪雨のように一定期間停電が続いた場合でも、携帯電話の充電場所として施設を開放することで、地域の情報収集力、発信力強化の面でも貢献できる。事業費は3399万9000円。
 薪ストーブは、中津荘がロビー、あやめの湯鳴滝では飲食フロアーに1基ずつ設置した。両施設ともベルギー製の「ドブレ760CB」という製品で、最高出力13㌔㍗。停電の際には暖房はもちろん、薪が燃える真っ赤な炎で明かりを確保。設備には天井部に鍋物や焼き物など料理できるトッププレート、燃焼炉内にダッチオーブンなどがあり、調理器具としても活用できる。薪を常時確保しておくことで、道路寸断などで灯油など燃料の輸送が困難になった場合などにも対応。通常時は観光施設としてレトロな雰囲気をかもし出している。環境にも優しい上、間伐材利用による地域の林業振興にも期待されている。事業費は両施設で442万7000円。
 薪ストーブは、昨年11月に初湯川の美山温泉愛徳荘に設置しており、本年度内には猪谷の美山療養温泉館にも導入する予定になっている。