政府が決定した南海トラフ巨大地震対策の基本計画で、和歌山県内も沿岸部等19市町が津波避難対策特別強化地域に指定されたことを受け、各自治体は避難施設整備等に対する国の補助率が向上する。美浜町は築山(人工の小山)や避難タワーの整備を急ぐなか、最もコストが高い築山の造成に補助を申請する方針。今後、実施設計や松林の保安林解除等の手続きを進め、早ければ平成28年度にも着工できるとみられている。
 政府は、国による財政支援で南海トラフ巨大地震の防災対策を強化する地域として、29都府県の延べ707市町村を「防災対策推進地域」に指定。滋賀、奈良、和歌山、四国4県は全市町村が指定された。各自治体は避難施設の整備や訓練の計画などを定めた地域防災計画の見直しが義務づけられる。また、和歌山県内では、地震発生から30分以内に30㌢以上の津波が到達し、とくに深刻な被害が予想される沿岸部等の19市町が「津波避難対策特別強化地域」に指定された。
 特別強化地域の自治体は、津波からの避難路や避難タワーの整備に対する国の補助率が通常の2分の1から3分の2にかさ上げされる。美浜町は本年度も地震・津波対策を最重点として、松原地区への高台避難場所、公民館浜ノ瀬分館屋上への避難設備、田井畑地区旧集会所跡地への緊急避難タワーの整備事業に着手。うち、築山方式で整備する松原地区の高台は、工事費がざっと1億5000万円になると見込まれ、この築山の建設に補助を申請したい考え。ただ、補助を受けるには着工前年の6月ごろまでに実施設計と国有地の占用許可、保安林解除などの手続きを済ませ、申請する必要があり、ことしの6月までには無理なことから、早くても申請は27年度、着工は28年度になる見通し。
 防災企画課は「厳しい財政状況のなか、特別強化地域の指定は非常にありがたい。美浜町の場合、現在、3つのハード整備を計画しているが、最も予算が大きい築山に補助を申請し、あとの田井畑地区の避難タワー、浜ノ瀬分館の屋上避難施設は交付税措置のある有利な起債を適用するなど、できるだけ早い整備を目指したい」と話している。