紀南地方では例年なら初ガツオ漁でにぎわう時期だが、ことしは近年まれにみる大不漁となっている。紀州日高漁業協同組合南部支所でも「ことしはほとんど水揚げがない」と話し、漁師らも出漁を控えている状況だ。県水産試験場(串本町)では「南方から日本近海にカツオが北上していない」と話している。
 カツオはこの時期に南方の海域から日本近海に北上し、紀南地方では一般的に3月ごろから5月の連休ごろにかけて漁が行われる。例年なら4月はピークで各港でにぎわいをみせるが、ことしはほとんど水揚げがない。みなべ町堺の漁師らは「いつもはこの時期にカツオ漁を行っているが、ことしは漁に出ると燃料代の分が赤字になる状態で、漁のターゲットを他の魚に切り替えている。これだけカツオが少ない年は今まで記憶にない」という声も聞かれている。カツオ漁の本場として知られるすさみ町でも「毎年港内がカツオでにぎわう時期だが、ことしはゼロに近い。価格は例年の3倍程度に跳ね上がっているが、漁師にとっては厳しい」と嘆いている。県水産試験場では「カツオはこの時期に南方の4ルートから日本近海に北上してくるが、ことしは北上が見られず近年まれにみる大不漁となっている。しかし今後はどうなるか分からないので、これからに期待したい」と話している。