19日午前中に日高町の中善夫町長(70)=原谷、3期=の今月末をもっての退職が決まったことを受け、町内には動揺が広がるばかり。一夜明けた20日午前にかけても、約1カ月半後に迫った町長選への動きは表面化しなかった。主だった町幹部、全11議員も一様に〝いまのところ〟自身の出馬を否定。ほとんどがあまりに突然の事態に混乱が収まらない様子で、新たな舵取り役の擁立、名乗りにはしばらく時間がかかりそうだ。
 中町長を含め過去の町長は5人のうち4人が元町職員だが、20日現在役場内にポスト中町長へ意欲を表明する職員はなし。町の行政に詳しい現職議員についても11人全員が「突然のことでびっくり」「新人擁立についてもまだ何ともいえない」と口をそろえ、自身の出馬も否定した。もともと次期町長選は9月30日告示、10月5日投開票の日程が決まっていた。その上、中町長の態度表明は6月議会と予想されていたため、仮に出馬の意思を持っていても急な事態に即座の対応は難しいともみられる。当面、混沌(こんとん)とした状況が続きそうだ。
 議員11人からは特定の人物こそ挙がらなかったものの、理想の新町長像についての声はいくつか聞かれた。「住民本位の政治をしてくれる人」が4人と多く、「行政経験のある人」が2人。その他、「誠実な人」「しっかり町政を担ってくれる人」などがあり、「いまのところ、まったく思い浮かばない」という意見も3人から出された。
 町内では「議員の中から出馬があるのでは」「あの人が立候補するなら応援したい」などのうわさや期待が飛び交い始めているが、確かな情報はなく、新人擁立の動きにも至っていない。議会は中町長の退職申出書同意の通知を24日に行う方針を決め、これを受けて町選挙管理委員会は25日に町長選の日程を決定する見通しと事態は着々と進行中だが、肝心の舵取り役の名乗り、擁立は難航の様相を呈している。