3月は別れの季節。卒業式の取材で思わずもらい泣きすることもある。先日、4月から統合のため最後の卒業式となったみなべ町の清川中学校で校長先生が卒業生に贈った言葉の中に、詩人・作詞家宮沢章二の詩があった。「他の人より一歩先を歩くからといって他の人より優れているとは限らない。自分の目標を定めて歩き出したのだから自分の一歩をしっかりと信じて進もう。その決意が最後まで歩く力を生む」(一部抜粋)。無限の可能性を持った子どもたちが新しいステージに進む、後押しするにふさわしい言葉で、筆者もあらためて勉強させてもらった。夢や目標を持つことの大切さ、コツコツと地道な努力を重ねることの大切さを。子どもたちにも大いに伝わったことだろう。
 もう一つ胸が熱くなったのは、卒業生たちがお世話になった人たちに感謝の言葉を述べたこと。とくに担任教諭に対しては、深い尊敬の気持ちが伝わってきたし、保護者に対しては普段は照れくさくていえないありがとうの気持ちを涙ながらに話していた姿に感動した。子どもたちの純粋な心から自然と出てくる言葉には本当に心が洗われる。思いを言葉にして相手に伝えることは年を取るほど苦手になってしまうが、大切なことだということも思い出させてもらった。
 言葉の力とよくいわれるように、人にたくさんの栄養を与えてくれる。半面、傷つけてしまうこともある。スマホの普及で目に見えない言葉の暴力、いじめが全国的にとくに中高生の間で問題になっているのも事実。次代を担う若人が、言葉を暴力のツールにするのは悲しすぎる。若者の皆さん、言葉の力で人の心に栄養を与えられる大人になってくれることを期待します。 (片)