日高広域消防は10日、新しい潜水隊用の車両(潜水車)を導入した。これまでは古い救急車を改装して使っていたため、ボートは車に乗らず現場に到着してから組み立てる必要があったが、新しい潜水車はそのまま搭載可能。クレーン付きで海や川に直接下ろすことができ、これまで以上に迅速な救助活動が実践できる。潜水器材を下ろせばトラックとして使用でき、あらゆる災害に活用していく。
 これまで使っていた潜水車は古くなった救急車の内部をウエットスーツなどを積めるよう改装して使ってきたが、17年が経過して老朽化したため、最新型に買い替えた。水難救助が必要な災害が発生した場合、ボートを軽トラックで運んで現場で組み立て、さらに人力で運ぶためスロープ状の場所でないと水面に下ろすのが困難だったが、新しい潜水車の導入でこれらの課題をすべて解消できるようになった。
 日野自動車のトラックタイプで、最大積載量は3・5㌧。長い荷台部分には潜水に必要な空気ボンベなどの資器材を収納したボックスを搭載。クレーンがあるため、ボックスの上に組み立てた状態のボートを積むことができ、荷台からそのまま水面に下ろすことも可能。例えば岸壁に潜水車を横付けし、そのまま海にボートを下ろせるようになる。組み立て時間や水面へのアプローチ時間がすべて短縮できるため素早い救助が実践でき、救命率アップにもつながると期待されている。
 荷台の器材を収納するボックスはクレーンで積み下ろし可能で、緊急消防援助隊として県外の災害現場に出動するときは救護所となるエアーテント等を積み込むこともできる。さらに交通事故現場でも2次災害防止へクレーンを使って車を安全な場所に移動させる活用方法もあり、あらゆる場面で威力を発揮する。取り扱いを学んで間もなく運用をスタートさせる。
 佐々木一消防長は「水難救助はもちろん、あらゆる災害で活用し、住民の安全安心に努めていきたい」と話している。