県は来年度、住宅や大規模建築物の耐震化を支援するほか、沿岸部にある県営住宅に津波避難ビル機能(屋外階段)を追加する事業をスタートさせるなど、防災・減災対策を強力に推し進める。住宅の耐震化では新たに非木造住宅の診断、建て替えも補助対象とし、ホテルや旅館、病院などの大規模建築物の耐震化支援には約15億円を計上。県営住宅の避難ビル化は基本設計と1団地の整備を計画している。
 平成26年度は「安全と安心」「未来への投資」の2本柱で新政策を進めるなか、地震・津波対策は「安全と安心」の中の最も重要な施策。23・24年度で避難先安全レベルの設定、津波浸水想定の策定など、本年度は新たな地震・津波被害想定の策定、市町の津波ハザードマップ作成支援などに取り組み、来年度は津波避難困難地域を抽出し、市町村が行う避難場所の見直し、避難路の整備、高台移転などを補助金で支援する。
 住宅が地震で倒壊するのを防ぐため、来年度は約1億3600万円の予算で非木造住宅の診断、改修ではなく建て替える際の設計や工事も補助対象に追加。簡易な耐震化については着工年度や所得などの補助要件を撤廃する。また、耐震改修促進法の改正により、耐震診断が義務化された大規模建築物については、避難生活者を受け入れることができるホテルや旅館、自力避難が困難な高齢者や病気の人らがいる病院、幼稚園、老人ホームなどを対象に、本年度に引き続いて診断、設計、改修の費用を一部支援。避難者を受け入れることができるホテルや旅館に対する補助申請は、当該市町村との協定締結が条件となる。県は昨年9月補正で3億7000万円を予算化、26年度は14億9000万円を計上しており、一部の設計・改修が始まる見通しとなっている。
 ほか、沿岸部にある鉄筋コンクリート構造の県営住宅について、市町村の避難計画や要望と合わせ、津波避難ビル機能を付加する対策も推進。県の津波浸水想定の結果、浸水エリア内で避難ビルとして機能しそうな3~5階建ての県営住宅は沿岸部全体で約20団地あるが、県は最大でも活用できるのは10団地程度とみており、来年度はどの住宅にも共通する基本設計と1団地(どこかは未定)の整備を行い、27年度以降、5団地の整備を進めることにしている。