「教職員の教え込みではなく、子どもたち自身に考えさせよう」「自分の命は自分で守るという意識を徹底させよう」。先日、日高川町で開かれた学校防災教育研修会で、アドバイザーの県職員が学校や地域、町・警察・消防など防災機関の関係者らにこのように呼びかけていた。研修会は、小学校などモデルとなって1年間取り組んできた学校防災教育に関する事業の総括的な場。モデル校が防災への取り組みを発表し、学校の防災教育・防災管理の充実に向けてアドバイザーが助言、提言を送ったが、本当に大切なことばかり。あらためて肝に銘じねばならないことが多かった。
 そんな提言から、「家族や大切な人の命を守るために」という言葉を紹介したい。 子どもと保護者に防災対策や減災対策への行動を促すためのキーワードだそうだ。子どもたちは、学校での防災訓練などに対し、「お父さんやお母さんを悲しませないために、大事な人の命を守るためにするんだよ」と呼びかけられることで、「大切な人」を思う一心からより一層真剣に、本番さながらに取り組むようになるという。一方、日々の忙しさなどに追われて防災訓練などに参加したことがない保護者も、子どもから「お父さん、お母さんが何よりも大切だから」と訓練に参加するように懇願されると、「家族のためだ」「私のために子どもがそこまで言ってくれるのなら」と改心、訓練が面倒だと思っている人でも重い腰が上がるそうだ。
 大雨や洪水警報などの場合、学校が休校、自宅待機になることが多いことから、アドバイザーは「家族単位での避難訓練も必要」と訴えた。「大切な人の命を守るため」。この言葉を胸に災害に備え、多くの人にこのキーワードを広めていこう。(昌)