宮城県仙台市出身の羽生結弦選手がソチ五輪のフィギュアスケート男子シングルで金メダルを獲得した。仙台市は3年前の東日本大震災の被災地でもあり、「金メダリストになれたからこそ復興のためにできることがあるはずです。これがスタートになると思います」とインタビューで語った。もちろん東北地方の被災者らを勇気付けた。仮設住宅で生活している人たちも「本当にうれしい。感動をありがとう」と涙ながらに話している光景がテレビで紹介されていた。
 最近になって「スポーツの力」という言葉が頻繁に聞かれるようになった。2020年の東京五輪開催が決まった昨年のブエノスアイレスで行われたプレゼンスピーチでもその言葉が使われた。パラリンピックに3度走り幅跳びで出場した佐藤真海さんは、骨肉腫で右足を失い絶望を感じ、東日本大震災でもつらい経験をしたが、「私がここにいるのはスポーツによって救われたからです」とその力のすごさを訴えた。
 いま開催中のソチ五輪では日本人選手の活躍に国民が熱狂する。メダルをとればその栄誉に拍手を送り、たとえメダルを逃しても「よく頑張った」と健闘をたたえる。華やかな舞台の裏に行き着くまでの努力や人間性が新聞やテレビなどを通じて紹介されると、その生き方に人々の心も動かされる。困難にも負けじとする糧にもなるだろう。
 ことしはソチ五輪のほか、6月にはサッカーのブラジルワールドカップも開かれる。そして来年9月26日には紀の国わかやま国体が開幕。日高地方でも野球やバレーボールなど各種競技が行われ、間近でスポーツの力を感じることができる機会でもある。疲弊しているといわれる地方に力を与えてくれることだろう。 (雄)